考古学研究会岡山11月例会が開催されます

恒例の考古学研究会岡山例会が今週末の11月14日(土)午後2時より岡山大学文・法・経済学部講義棟19番教室を会場に開催されます。

発表者と内容は以下の2本です。

宇垣匡雅 さん 「古墳の墳丘高−変化とその意義−」

白木英敏さん 「田熊石畑遺跡の調査概要」

宇垣さんはこれまであまり注目されてこなかった古墳の高さについての研究です。特に吉備の古墳の高さに注目され、その変化と画期について考察をされるそうです。

白木さんは福岡県宗像市にあり、弥生時代中期の墳墓と集落跡として知られる田熊石畑遺跡の調査成果を報告くださるとのこと。

いずれも力作の予感大です。いってみるかな。詳しくは下記のリンクから

考古学研究 岡山例会のご案内

岡山県立博物館の特別展示「火と土のオブジェ」へ行ってきました

岡山県立博物館

岡山県立博物館

現在開催中の岡山県立博物館特別展「火と土のオブジェ」へ行ってきました。

この特別展は土を材料にした様々な造形の歴史を題材にしたもので、縄文土器から原罪の備前焼まで、県内外の資料を一同に集めた展覧会です。

今回は、三重県宝塚1号墳出土の舟形埴輪を目当てに行ってきました。舟形埴輪は宮崎県西都原169号墳や、大阪府長原遺跡出土のものが著名ですが、この埴輪は全長1.4mを超える日本最大のものです。

ここでは写真を載せられないでの下記のリンクから。

宝塚古墳から日本最大の船形埴輪が出土 !

詳しくはこちらのサイトにかかれているため省きますが、宝塚1号墳は全長111mを図る古墳時代中期の伊勢を代表する前方後円墳で、平成11年度に行われた発掘調査により、この埴輪を含む多数の埴輪が出土しました。

この埴輪の特徴的な点は、その大きさもさることながら、蓋や儀仗、大刀など、様々な飾りが付けられていることです。やや誇張があるものの、いずれもきちんとディフォルメされていて、船体部分も障壁や櫓を通す穴など細部にこだわった作りが見られます。

蓋や儀仗、大刀などはいずれも主張の権威を表示する威信材と考えられ、この主張の権力の源泉と船とが深く関わっていたことを想像させます。

当時の船は単なる乗り物としてだけでなく、異界へと行き来するための神聖なものとして扱われていたようで、平成18年には奈良県巣山古墳の周濠から被葬者の遺体を運んだとされる「喪船」が出土したことは記憶に新しいです。他にも舟形石棺など、首長の死と直接関連しているものに船は多く用いられていました。

さて、これ以外の展示も素晴らしいもので、あまりのボリュームに圧倒されました。火焔土器や王冠形土器なども西日本にいるとなかなかお目にかかれるものではありませんでしたしね。

それから、何といっても備前焼の人間国宝の作品大集合も大きな見どころです。こでは備前焼の変遷を改めて確認することもできます。

とにもかくにも大迫力の展示会です。みなさんもぜひ行ってみてください。

千足古墳の公開へ行ってきました

最近大変話題となっている千足古墳の公開へ行ってきました。

千足古墳

千足古墳

この古墳は岡山市下新庄にある5世紀前半に築かれた全長約74mの帆立貝式前方後円墳です。この古墳はその立地から全国第4位の規模を誇る超大形前方後円墳、造山古墳の培塚の一つと考えられています。

内部主体として肥後型の横穴式石室が築かれていることから、造山古墳前方部に残される阿蘇石製の長持形石棺とあわせて、当時の吉備政権が肥後地域と密接な関わりがあった証拠とされるものです。

さて、この古墳ではこの10月から始まった岡山大学のチームによる測量調査に際して、横穴式石室内に残る石障に刻まれた直弧文が大きく損傷していることが明らかとなりました。

劣化判明した千足古墳の3次元計測始まる  – 山陽新聞地域ニュース.

この直弧文は埴輪や刀の柄頭など、古墳時代の様々な遺物に描かれていることで知られている、古墳時代を代表する文様です。吉備で生まれた弧帯文に由来するとされ、この古墳の直弧文はまさに吉備を代表する文様とも言えます。

こんな超一級資料の損傷というとても無惨なニュースに、いつもとは違って遺跡へ向かう足取りも少し重いものとなりました。

千足古墳の横穴式石室

千足古墳の横穴式石室

左の写真が上からのぞいた横穴式石室の様子です。光の加減でかなり見えにくくなってはいますが、写真中央に横たわる石の板が件の石障です。この石障の向かって手前側にあの直弧文が描かれています。

ちなみにこの石室は、調査前まで完全に水没しており、今回の調査のため20年ぶりに水を抜いたところ、今回の発見となったようです。もし、そのままの状態で放置されていたなら、あと数年で取り返しのつかないことになっていたと思います。今回の発見は本当に不幸中の幸いでした。

傷ついた直弧文

傷ついた直弧文

左の写真が傷ついた直弧文のアップです。見てのとおり下半分は完全に融解していて、表面がささくれ立っています。上半分も文様の精彩さが失われていて、新聞報道で見たよりも、かなり痛んでいる印象でした。

この石障は砂岩でできていて、もともとあまり水には強くはなく、約1500年もの間原形を保っていたこと自体が奇跡なのかもしれません。

調査担当の新納先生も言われていましたが、損傷をこれ以上進行させないためにも、石室の一部解体修理以外の選択肢はなさそうです。横穴式石室の入り口から調査を行い、搬出路を確保しないといけません。それに文様の損傷の進行を遅らせるため、防水、除湿、温度管理のための設備も必要で、かなり大がかりな調査になると思います。

今後は管理団体である岡山市の調査にゆだねることとなるのでしょうが、とにもかくにも吉備の誇る一級の資料だけに、できるだけ早い調査と保存処置が望まれます。